ピルQ&A

Q1 ピルは、本当に大丈夫?

A1 ピルは安全なお薬です
ピルは安全なお薬です。重大な副作用がおこることはとてもまれです。女性ホルモンで出来ているために乳がんになるような誤解を受けていますが、実際に処方した経験からピルをのんでものまなくても乳がんになる確率はほとんど変わらないというのが私の最終的な結論です。最近になって、こうしたピルの安全性を裏づける多くの研究成果も発表されています。ただし、乳がんは欧米諸国と同じく、日本でも最も多い女性がかかる癌の一つとなりました。ピルとは無関係に、定期的な乳腺の自己検診を行い、異常(乳腺のしこり、くぼみなど)に気がついたら早めに最寄の乳腺外科や婦人科を受診するようにしましょう。

Q2 ピルをのんでいる事は、秘密ですか?

A2 ピルをのんでいる事は、大切な個人情報です
ピルをのんでいる事は、大切な個人情報です。実際には二人で相談した上でピルを避妊に使っているカップルが大多数ですが、ピルを使っている女性の中には、彼氏に秘密でピルをのんでいる女子大生や、職場の男性職員には絶対に知られないようにしている女性もいます。
女子大生が彼氏に内緒にする理由は、「私がピルをのんでいる事を知ると、彼氏はコンドームをしなくなるから」でした。彼氏を信用しないわけではないのですが、彼女にとって愛情と健康は別です。セックスはしても、彼氏のもしもの浮気から性病を移されることのないよう、ピルをのんでいる事は秘密で、セックスの際にも必ずコンドームを併用しています。
働く女性が職場の男性職員に知られないようにする理由は、性的暴力を誘発する恐れがあるためでした。
あくまでもケースバイケースですが、ピルをのんでいることは、無用なトラブルを避ける意味から、親しい人以外に軽々しく口外するのは考え物です。また、自分の意志でピルをスタートした場合、セックスパートナーにピルをのんでいる事を伝えるタイミングは慎重に判断されることをお勧めします。

Q3 性病の予防は万全ですか?

A3 コンドームだけでは無理です
セックスには、望まない妊娠と性病という二つの大きなハードルがあります。20世紀の医学は、女性が自分の意思で自由に妊娠をコントロールできるピルという薬を創り出しました。しかし、21世紀になった今も、エイズをはじめ性病の蔓延を防ぐことは残念ながらできていません。
「女性はピルを、男性はコンドームを」と男女双方がお互いに気をつけあう性教育を行う先進国は少なくありませんが、性病の予防はコンドームだけでは実際には無理です。人間は昔も今もセックスの誘惑にはしばしば負けてしまいますが、(1)セックスの相手を選ぶこと、(2)初めての相手には、必ずコンドームを装着させること、(3)セックスの相手を変えたときは、早めに性病の検査をうけておくことなどをお勧めします。

Q4 ピルを選ぶコツ、続けるコツは?

A4 始めるのは簡単、続けるには努力と工夫が必用です
彼氏とのセックスが週末と決まっている場合や、週休二日制で土日が仕事が休みという女性は、生理が月曜日以降にはじまるサンデースタートがお勧めです。
ピルが初めての女性は、28錠タイプ(偽薬つき)がお勧めです。慣れてきたら偽薬のない21錠タイプ(休薬期間あり)に変更するのは簡単です。
実際にピルをのみ始めて最も多いトラブルは、のみ忘れ・のみ間違いです。カレンダーに印をつけたり、ピルをキッチンや洗面所など目に付く場所においてのみ忘れを防ぐよう工夫している女性は少なくありません。しかし、人間ですから、間違いを犯すことは避けられません。のみ忘れた場合に、早く気がつくこと、のみ忘れた際の正しい対処方法をマスターすることも大切です。
万一、途中でピルを断念した場合でも、残った薬は捨てずに大切に保管してください。捨てる神あれば、拾う神ありです。不完全なシートでも、1)生理を遅らせる生理日変更などに再利用可能です、2)もしも1錠だけ薬を紛失してしまった場合の予備の薬として役に立つことがあります。

Q5 ピルの種類を変えるときは?

A5 薬があわない時は、他のピルに変えましょう
ピルは望まない妊娠を避けるための手段の一つに過ぎません。一つの薬に固執する必用は全然ないので、薬が自分に合わないと感じる場合は他の薬に変えることをお勧めします。
低用量ピルには、3種類のグループがありますが、例えばトリキュラー21や28がダメだった女性に、アンジュをお勧めすることはあまりありません。トリキュラーがのめない女性は、他のグループのマーベロンやファボワールをお試しください。
日本では99年9月に低用量ピルの発売が開始されました。日本で発売された低用量ピルは、含まれているホルモン剤の成分から、3つのグループに分かれます。宮川クリニックでは、日本で認可されているすべての低用量ピル(現在10種類)が処方できます。

グループ 薬品名 21錠タイプ 28錠タイプ 製薬会社 値段(内税)
トリキュラー アンジュ アンジュ21錠タイプ アンジュ28錠タイプ あすか製薬 1,950円
ラベルフィーユ ラベルフィーユ21錠タイプ ラベルフィーユ28錠タイプ 富士製薬 2,000円
トリキュラー トリキュラー21錠タイプ トリキュラー28錠タイプ バイエル 2,500円
マーベロン オランダ製マーベロン
※現在輸入中止
オランダ製マーベロン(タイ向け製品をシンガポール経由で輸入) オランダ製マーベロン(タイ向け製品をシンガポール経由で輸入) MSD 1,800円
フォボワール
(使用期限は約1年です)
フォボワール21錠タイプ フォボワール28錠タイプ 富士製薬 2,000円
マーベロン マーベロン21錠タイプ マーベロン28錠タイプ MSD 2,500円
シンフェーズ - シンフェーズ28錠タイプ 科研製薬 3,000円

Q6 輸入したピルとは?

A6 【重要】オランダ製マーベロンとドイツ製トリキュラーEDは、2020年の法律改正の影響で輸入できなくなりました。

Q7 ピルの自己管理は?

A7 予備のシートを一つ持ちましょう
ピルがなくなって、あわてる女性は少なくありません。オンライン処方でも、入金確認や郵送など事務的なトラブルからピルが手元に一時的になくなってしまう事態がありえます。ピルを継続して使用される女性は、予備のシートを1シート残した上で、お薬を処方してもらうことをお勧めします。これなら事務的なトラブルを防ぐことができます。
なお、中用量ピルを緊急避妊用に使用されるケースがありますが、効果が不確実で避妊に失敗したケースがあとを絶ちません。どうしたらよいか迷った時には事前にメールでお知らせください。

Q8 メールの返事はすぐ来るの?

A8 平日は24時間以内にご返事します
ピルのオンライン処方は、ハードの薬とソフトのメール相談で成り立っています。わからないときや困ったときは、遠慮なくメールをお送りください。平日は、24時間以内にご返事します。特に午前9~12時、午後4~7時は通常の診療をしながら、同時並行してメール相談のご返事を書いていますので、より迅速に対応できます。

Q9 ピルの副作用は?

A9 不正出血、頭痛、吐き気が上位3位に入りました
製薬会社が行った市販後調査の結果では、低用量ピルの副作用として、1)不正出血、2)頭痛、3)吐き気が上位3位に入りました。この他に、にきび、体重増加などが続きます。不正出血は、ピルをのみ続けることで解消される場合が多く、頭痛・吐き気ものみ始めに限った一過性のことが多いので、副作用に驚いてすぐにピルを止めてしまわないようにすることが大切です。
にきびや体重増加は、女性にとって美容上大きな問題ですが、スキンケアやダイエットなどの一般的対処方法のほか、ピルの種類を変えてみるのも有効な場合があります。

Q10 ピルの副効果は?

A10 生理不順、生理痛がひどい、生理の出血量が多い女性には、病気の治療薬としても役に立ちます

  1. 生理不順(卵巣機能不全)の治療薬として 正常の生理は、28~30日前後の周期で規則的に来ますが、妊娠でもないのに生理が来ない(無月経)場合や生理が頻発して貧血になる場合(頻発月経)があります。婦人科では、女性ホルモンの検査をした上で、原因にあわせて各種ホルモン剤を使用して人工的に生理が規則的に来るように治療します。代表的な治療法方が、カウフマン療法と呼ばれるもので、従来は周期の前半にプレマリン(女性ホルモン剤)、後半にドオルトン(中用量ピル)などを組み合わせて処方していました。低用量ピルには、治療薬としての保険適応がありませんが、副作用の少ない生理不順の治療薬として使用することが可能です。
  2. 生理痛(月経困難症)の軽減に 生理痛を訴える女性は、全女性の約50%にも上ると言われています。このうち子宮筋腫や子宮内膜症など婦人科特有の疾患がないのに、生理痛がひどい場合を機能性月経困難症といいます。従来は、市販の鎮痛剤をのんだり、ボルタレン、ロキソニンなどの保健薬を処方してもらい対処していましたが、強い生理痛があって学校や会社を休んでしまうような場合には、低用量ピルを使用して生理痛を軽減することが可能です。鎮痛剤が少なくて済んだり、不要になったりします。
  3. 生理の出血量の減少に 生理時に血の塊が出たり、一日にナプキンを何度も取り換える場合は、生理の出血量が普通より多い過多月経と考えられます。放置すると貧血になって、頭痛・息切れ・易疲労感などの原因となります。低用量ピルには、生理の出血量を減少させる効果があり、間接的に貧血の改善にもつながります。
  4. 子宮内膜症の治療薬として 婦人科特有の病気に子宮内膜症があります。子宮内膜症は、原因不明の進行性の病気で、月経困難症・過多月経・不妊などの原因となります。従来は、男性ホルモン剤やGnRHアナログと呼ばれる点鼻薬・注射薬で治療されていましたが、副作用として男性ホルモン剤には肝機能障害、GnRHアナログには更年期障害様の卵巣機能欠落症状が高頻度に出現します。低用量ピルは、これらの薬にくらべると安価で副作用が少なく一定の治療効果が期待できるため、治療の選択肢の一つとしてとらえられるようになりました。

Q11 シンフェーズはどうなりましたか?

【シンフェーズ供給再開のお知らせ】
製薬会社の都合(2017年9月のメキシコ地震で工場が被災したため)により、シンフェーズの供給遅延が起き、2018年3月に当院の在庫もなくなり処方できなくなりました。その後、2022年から供給再開され、当院でも2022年6月から供給を再開しています。

Q12 オーソM21とオーソ777・21はどうなりましたか?

【オーソM21とオーソ777・21の販売終了のお知らせ】
オーソM21とオーソ777・21は、製薬会社の都合により2017年1月頃に販売を中止することになりました。当院でも、お薬の在庫がなくなりましたので取り扱いを終了しました。長い間ご愛用いただきました女性の皆様には、製薬会社に代わりまして心より御礼申し上げますm(_ _)m
今後は、月経困難症の治療目的に使用されていた女性は、オーソM21と同じ成分の、フリウェルLDやフリウェルULDへの切り替えをご検討いただければ幸いです。

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